BRIDGE LOCAL LEADER PROGRAM

地域のメンターに学び、自分の事業を加速させる。

2017.10.31 PROJECT START

VOICE 体験事例

フィールドワークで参加者が何を学び、
そして自地域での事業がどのように
変化していったのか。
参加者の体験談をお届けします。

“町を変える”中間支援団体への転機に。

根市 大樹さん

参加者プロフィール

根市 大樹さん

現職

NPO法人青森なんぶの達者村 理事・合同会社南部どき 代表社員

参加地域

石川県七尾市

メンター

株式会社 御祓川・森山奈美さん

町役場の職員数が減り行政の事業負担が増える中で、地域の少子高齢化や農家の跡継ぎ不足を民間で担おうと青森県南部町で誕生したのが、NPO法人青森なんぶの達者村(以下、達者村)です。地域の一番の収益源である農業観光を中心に事業を進めています。

主な収益源を残して自分の事業はすべて白紙に。
メンバーの「やりたい!」を後押しした先に生まれた新たな流れ。

フィールドワークから帰って、私はまず自分が言いだして始めた事業を、収益源となる大事な事業は残してあとはすべて白紙にしました。そして、それまでは思い込みでリスクを挙げてストップをかけていた「これをしてみたい」というメンバーの挑戦を、後押しすることから始めてみたんです。

そうして全体のステークホルダーを見直しつつ、相手が得意なことを見極めて仕事を任せるということを進めていくうちに、各々の挑戦しているメンバーの周囲に新たなステークホルダーが生まれていきました。それまでは、ある種自分一人がプレイヤーで、その周囲には同じステークホルダーしか集まらなかったのですが、新たなメンバーの挑戦が新たなステークホルダーを生み、地域に新たな事業が生まれる流れができていったのです。

BRIDGEに参加する前、自分一人の働きには限界があるけれど、もし町民18,000人の一人ひとりが自分たちのフィールドを見つけて解決に向けてアプローチをしていけたなら、この町はもっとよくなっていけるんじゃないかと思っていました。ただ、その方法が分からなかったんです。
BRIDGEでの学び得た今では、地域づくりのあり方や事業への関わり方といったマインドの部分に大きな変化が生まれ、少しずつこのビジョンの実現に近づいていっているなと感じています。

町のインバウンド受け入れ人数が1年で約5倍に。
中間支援団体という意識があってこそ、初めて挑戦できたこと。

過去には町の一プレイヤーだった達者村ですが、今では完全に中間支援団体という意識で、
たくさんの挑戦を生み出す“場”として機能しています。

達者村の一番の収益源であるグリーンツーリズムにおいても、BRIDGE参加前は自分たちのキャパシティーにとらわれて修学旅行生の受け入れのみに注力していましたが、受け入れ農家さんたちの「やってみたい」をサポートするかたちでイスラム教徒の受け入れに力を入れた結果、2015年時点では40人だったインバウンドの受け入れ人数が2016年には200人までに跳ね上がりました。受け入れ後も国を越えた交流は続き、町民には笑顔が増え、輸出事業に関心を示す農家さんが出てきたという成果も生まれています。これもあくまで主体は受け入れ農家さんたちで、自分たちはそのサポート役だという意識で中間支援に徹したからこそ、挑戦できたことでした。

今では、町民の自主性がなくなるような事業は次々と淘汰され、残った事業は私以外の誰かが得意を活かして主体的に取り組んでいるものか、町民・達者村のメンバー・行政など関わる全員にとって有益なものだけとなっています。事務局長という役職も完全になくし、会員全員それぞれ役割が違う中、組織と言えるか分からないけれど事業はしっかりと回っています。

スキルではなく、“人”に作用するフィールドワーク。

他地域へフィールドワークすることの価値は、同じ立場で地域で頑張るメンターの姿勢に学びを得られること、そして文化が違うものを取り入れられることにあるのではないかと思っています。例えば一口に少子高齢化と言っても、地域によって課題の質やかたちが違っていますが、そこで同じような課題を持っている地域に話を聞くだけでなく、まったく違うアプローチを持っている地域で現場を見たり話を聞く価値はとても大きいと実感しています。その場ではよくわからなかったことも、後々になって思い出して、とても役に立ったりするものなんですよね。

例えば南部町で御祓川大学でのコミュニティーづくりの考え方をヒントに町民誰もが気軽に集まれる鍋会が生まれたように、その根底にある考え方を学べば、その地域に適した具体的なかたちで課題を解決するようなアプローチは生み出されていくと思っています。

そしてそんな学びの場を、本気で地域で向き合う同じレベル感の仲間たちと話し合いながら体感できるのが、BRIDGEというプログラムです。現場を五感で感じながら自己対話するフィールドワークは、スキルでなく“人”に作用するからこそ、深くまで浸透してじわじわと後から効いてくるものがあるなと今振り返りながらも感じています。

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