BRIDGE LOCAL LEADER PROGRAM

地域のメンターに学び、自分の事業を加速させる。

2017.10.31 PROJECT START

VOICE 体験事例

フィールドワークで参加者が何を学び、
そして自地域での事業がどのように
変化していったのか。
参加者の体験談をお届けします。

そこには、理想の「地域づくり」があった

梢 正美さん

参加者プロフィール

梢 正美さん

現職

農家民宿 古民家こずえ 女将、くまの地域づくり協議会 コーディネーター

参加地域

山形県川西町

メンター

特定非営利活動法人きらりよしじまネットワーク事務局・髙橋由和さん

7割が限界集落という生まれ故郷の石川県志賀町で、“町を変える”農家民泊プロジェクト 農家民宿 古民家こずえ(以下、古民家こずえ)を家族とともに立ち上げたのは、2014年のことでした。このままでは故郷の風景が数年後にはなくなってしまうという想いで、志賀町と他地域の若者を繋ごうと、オープン当初から宿泊施設としてだけでなくインターンシップ生の受け入れをメインに事業を進めてきました。

「これだ!」という将来像を五感で感じ、
揺れていた自分の地域づくりの軸が定まった

そうしてフィールドワークを進めるうち、最初に生まれた自分への疑問は「地域づくりって、本当に移住定住促進のことなの?」ということです。当時の私は、さまざまな地域づくりのあり方が存在する中で、一体自分は何のために、どんな地域づくりをしていくのかという悩みの最中でした。

そんなグラグラと揺れた状態でフィールドワークを続けていたのですが、川西町で「自分らも出資したけど、今はお給料も出ているんだよ! 本当に髙橋さんのおかげだ」と、組織として自立しながらもやりたいことをできている誇りで生き生きと輝いている町民の姿を目の当たりにしていたら、「私もこんな地域づくりがしたい!」と自分の軸がぐっと定まっていくことを感じたんです。
目の前のおばちゃんたちの言葉、心からの嬉しそうな笑顔、伝わってくるエネルギー。町民自らが実直に語る苦い経験と喜びに耳を傾けるうちに、自分の軸を決めるほどのものを受けとったのだと思います。

「私が目指すのは、そこで暮らす人が何よりも一番ハッピーになって、100年、200年以上もその幸せが引き継がれていく持続力がある地域づくりだ」。そう決意してからは、皆の“こんなことをしたい!”を応援できる自分になるにはどんなスキルが必要なのかと、フィールドワークにもさらに熱が入っていきました。

地域を動かす「合意形成」のステップ

髙橋さん、そして川西町の皆さんに教わったことはたくさんあるのですが、その中でも当時の自分にとって一番学びが大きかったのは、地域を動かすのは「合意形成」のもとでするという考え方です。

それまでの私はというと、今思えばとてもプレイヤーらしいのですが、自分の想いを周囲に伝えて共感を生み出して皆さんに動いてもらえればいいと思っていて、「合意形成」という言葉がそもそも自分の中に存在していませんでした。でも、これが大事だと髙橋さんから伺って、その考え方を意識してみたら、その大事さをこれまでの体験で身に沁みて知っている自分に気がついたんです。

BRIDGEを終えて自分の地域に戻ってからは、髙橋さんに教わった合意形成のステップをもとに「無関心→参加→参画→合意形成→仕切る(リーダー)」という5段階のステップを作成し、マネージャーとしてステークホルダーのニーズに合った提案をすることを意識しながら、この1年間協議会のメンバーに向けて働きかけを進めてきました。現在では組織の執行部全員が、なんと最後の5ステップ目まで進んでいます。
自分はマネージャーなのだという意識を持って合意形成を目指し、ステークホルダーのニーズに合った伝え方に情報を整理し直すことで、あんなに大変だった巻き込みの課題にたった1年でここまでの成果を出すことができました。予想以上のスピード感に、学びを活かしきった達成感と喜びをしみじみと感じています。

自分のマインドの変化は行動を変え、周囲の環境をも変える

協議会では現在、インターン生が提案してくれた、薬草をテーマにした観光資源づくりに力を入れています。10年後に芽が出るような薬草を目の前にして、「ワシらもうおらんで〜」と言いながら一生懸命町のこれからのために動いている皆の姿を見ていると、以前までの「数年後はワシらはおらんから関係ない」と無関心だった状況からの変化に胸がいっぱいになります。

先日、髙橋さんに「あれから1年間で合意形成まで達成できました」という報告メールを送ることができました。「次は規約が大事だから、規約を送ってみてくれますか」という返信に、「規約ってそんなに大事なものなの?」と再び目から鱗が落ちつつ(笑)、今でも続くメンターとの関係を頼もしく思いました。

次の大きな目標は、協議会の3年後の事業化です。BRIDGEでの学びを活かしながら、「そこで暮らす人が何よりも一番ハッピーになる地域づくり」に、引き続き奮闘する日々を送っています。

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